薬学部 石川和宏教授、岡田守弘准教授らの研究課題が、北國がん基金の第39回北國がん基金研究助成に採択
薬学部薬学科 / 2025.07.03 update
薬学部 石川和宏教授、岡田守弘准教授らの研究課題「抗がん薬の光安定性光源に関する研究」が、公益財団法人北國がん基金の第39回研究助成に採択されました。
北國がん基金は、がんに関する学術的研究・医療の進歩を図るため、昭和61年11月27日、石川県知事の認可を受けて財団法人として発足し、平成25年7月1日に公益財団法人に移行しました。石川県内の研究者、医療従事者、保健医療関係団体等を助成、顕彰し、がん征圧に寄与することを目的としています。
【研究課題】
抗がん薬の光安定性光源に関する研究
【研究概要】
医薬品の中には、光に不安定で色調変化や含量低下をもたらすものがある。現在の高齢者医療の最前線では、アドヒアランス向上のために錠剤をPress Through Packシート(以下、PTP)から取り出して1回ごとに服用する薬をひとまとめにした一包化調剤が汎用されている。その際、服用している薬が光に不安定で遮光が必要な要遮光薬である場合は、曝光を避けるために一包化調剤をせずにPTPシートのまま調剤しなければならず、細かい作業に不向きな高齢患者の負担が増えるかたちになってしまっている。また、要遮光注射薬である場合、薬剤師は散光下で可能な限り短時間での調製が求められ、調製ミスや飛散拡大等も問題視されている。さらに病棟内での投与場面では、点滴バッグを遮光袋で覆うことが必要となることに加え、ある種の抗がん薬に至っては点滴バッグだけでなく、バッグと投与部位を繋ぐ細長い点滴ルートまで遮光袋で覆って投与しなければならないことから看護師の業務が多忙を極め、こちらも問題視されているところである。その他、医療安全の観点からは、点滴ルートが遮光されると目視での確認がしにくくなり投与中のルートトラブルや点滴漏れ、静脈炎の発見の遅れに繋がるといったリスクが指摘されている。このように要遮光医薬品は実用面で非常に煩雑であるという医療現場泣かせの課題を抱えていることから早期の解決が求められている。
我々は要遮光医薬品の一つである抗がん薬の光安定性について着目した。この薬剤が235 nmと325 nmの紫外域に吸収スペクトルを持つことに着目し、400 nm~700 nmの光スペクトルからなるLight Emitting Diode(以下、LED)を照射したところ、分解物を生成しないという新規の知見を得た。このことから今回、申請者らはLED照明を使った臨床条件下で、抗がん剤の残存量と分解物の生成量を経時的に定量測定するとともに、動物実験を通じて安全性を検証する。
研究助成の詳細については、以下のとおりです。
研究代表者:岡田守弘 (薬学部 准教授)
研究分担者:石川和宏 (薬学部 教授)
嶋田努 (金沢大学医薬保健研究域薬学系教授)
有原大貴 (金沢大学医薬保健研究域薬学系薬剤師)
研究課題名:「抗がん薬の光安定性光源に関する研究」
助成金額:50万円
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