薬学部・松尾由理教授が、公益財団法人北國がん基金の第36回研究助成対象者に選ばれました。
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研究活動 / 2022.07.11 update
北國がん基金は、がんに関する学術的研究・医療の進歩を図るため、昭和61年11月27日、石川県知事の認可を受けて財団法人として発足し、平成25年7月1日に公益財団法人に移行しました。石川県内の研究者、医療従事者、保健医療関係団体等を助成、顕彰し、がん征圧に寄与することを目的としています。
松尾教授は、これまでPGE2と脳に関する病気や疾患との関連性に関する基礎研究に従事し、新規治療薬の開発等応用研究に取り組んできました。
PGE2は、プロスタグランジンE2と呼ばれ、代表的な生理活性脂質です。生理活性脂質には、ホルモンや神経伝達物質、ビタミンやミネラル等が含まれます。PGE2が生理作用を発揮すると、発熱や痛覚過敏等の症状が出るため「悪玉作用」を持つ一方、胃を保護する「善玉作用」の役割も持っており、私たちの全身に存在しています。
これまで、「PGE2はがんを悪化させる」という研究成果が報告されていたのですが、PGE2と脳腫瘍に関する研究事例はまだ少ない状況にあります。本研究課題「脳腫瘍でのがん細胞増殖における『膜結合型PGE2合成酵素』の役割に関する研究」は、誘導型酵素であるmPGES-1(=膜結合型PGE2合成酵素)が脳腫瘍のがん細胞にのみ発現誘導する、つまり脳腫瘍のがん細胞のPGE2をターゲットとし、mPGES-1がピンポイントに作用を抑えることができるかを実証することを目的としています。
本研究課題を通して、脳腫瘍の新規治療薬の開発やより有効ながん抑制薬の発見につながることが期待されます。
研究代表者:松尾由理(薬学部・教授)
研究課題名:脳腫瘍でのがん細胞増殖における膜結合型PGE2合成酵素の役割に関する研究
助成金額 :100万円