薬学臨床系薬理学分野
代替医療薬学・実験治療学研究室

HOKURIKU UNIVERSITY

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「トリメタジジン」アスリートが利用すると?(2022.2.11)

毎日新聞で「トリメタジジン」について解説しました。

毎日新聞 2022/2/11 18:09 より引用

ドーピング検査を管轄する国際検査機関(ITA)が、北京冬季オリンピックのフィギュアスケート団体で金メダルを獲得した女子のカミラ・ワリエワ選手(15)の検体から検出されたと発表したトリメタジジンとは、どのような薬物か。

トリメタジジンは急性期を除く心筋梗塞(こうそく)や狭心症の治療や予防に使われる経口薬で、日本でも1968年から販売されている。2014年に世界反ドーピング機関(WADA)の禁止薬物リストに加わった。

北陸大薬学部長の光本泰秀教授(神経薬理学)によると、トリメタジジンは血管を広げて心筋の酸素不足や栄養不足を防ぐ効能があり、心筋のエネルギー代謝を改善したり、心臓への負荷を抑えたりできるという。

そのため、アスリートが利用すれば心臓の負担軽減で持久力が高まると考えられている。また、代謝の促進によって多くのエネルギーが作られ、瞬発力が強くなる可能性もある。光本教授は「作用の仕方からみればアスリートにとって有利な薬だ。ドーピングの対象となることも理解できる」と話す。【信田真由美】