北陸大学同窓会 ロングインタビュー

4
結果だけでなくプロセスを大切に
クライアントに寄り添う
弁護士でありたい
はる法律事務所
弁護士
荒井 祐人
結果だけでなく
プロセスを大切に
クライアントに寄り添う
弁護士でありたい
はる法律事務所 弁護士
荒井 祐人
石川県加賀市出身。2007年北陸大学法学部卒業。2010年に金沢大学のロースクール(法科大学院)を修了し、同年司法試験に合格。2011年12月司法修習修了後、弁護士登録(64期:第二東京弁護士会)。 現在は東京都千代田区のはる法律事務所に所属し、主に企業法務に対応している。
法学部に学び、北陸大学初の司法試験合格という快挙を成し遂げた荒井祐人さん。現在は東京の法律事務所で研鑽を積んでいます。もっとも法曹の世界を目指すという目標が明確になったのは4年生になってからと、決して早いとは言えないスタートだったそうです。夢の実現を後押ししたのは、北陸大学での学びと、人の温かさでした。
荒井さんは2007年に北陸大学法学部を卒業し、2010年に司法試験に合格されました。その後のキャリアパスについて教えてください。
少し説明をすると、法曹(弁護士・検事・裁判官)になるためには、司法試験に合格した後、司法修習という研修を受けることになります。司法修習の最後には司法修習生考試、いわゆる「二回試験」が行われ、これに合格すると晴れて法曹として認められます。私自身は2010年11月から1年間司法修習を受け、その後第二東京弁護士会に登録して弁護士としての活動をスタートしました。石川県出身の私ですが東京で働くことを決めたのは、多様な案件を数多く経験することで弁護士として成長したいと考えたからです。

今所属している法律事務所では、私を含めて3名の弁護士が顧問先の企業法務を中心に対応しています。具体的には、契約書をチェックしたり、労働関連のトラブルの相談に応じたりといったことを行っています。
印象に残っている案件について教えていただけますか。
現在の職場では企業法務がメインですが、離婚や相続などの親族関係のトラブルや、交通事故に関わる相談を個人の方から受けることもあります。依頼者の方の多くは、困難に直面し、大きなストレスを抱えています。そうしたケースでは、依頼者の方の経済的な利益の最大化を図ると同時に、その困難なことを終わらせる、不安や悩みを取り除く、という視点を大切にしています。初めてお会いしたときは悩みの渦中にいて暗い顔をされていた方が、だんだんと明るい顔になり、本来の健康な心を取り戻していく様子を見ると、弁護士として非常にやりがいを感じます。
法学部4年生になって掲げた
「弁護士になる」という夢
学生時代の写真を拝見すると、弁護士や検事を目指して学んでいる…といった堅いイメージはなく、20代の若者らしくキャンパスライフを謳歌していたことが伝わってきます。
特にこれに打ち込んだ、というものはないのですが、学生生活は楽しかったですね。当時、学費は、基本的には、奨学金とアルバイトで稼いだお金で自分で払っていたんです。でもそれが大変に感じたことはなかったですね。
弁護士になるというのは、子どもの頃からの夢だったのでしょうか。
法律を学ぼうと法学部に入学したのですが、明確な目標があったわけではなく、今思えば軽い気持ちでした。ただ職業が何であれ、人の役に立つ仕事、専門的な仕事には就きたいとは思っていました。

3年次に行政書士の試験をパスしたのですが、これも授業の最終的な課題という位置づけで受けたもので、将来的なことは決めかねていました。 法律家という目標をはっきり定めたのは4年生になってからです。県内にロースクールが設置され、身近に法曹を目指す道が拓かれたと知ったことがきっかけです。そこからは勉強に没頭しました。大学の図書館にはよく通いましたね。すこし遅いスタートだったかもしれませんが、自分としては「夢は自分の頑張り次第」と考えていました。
司法試験は狭き門のイメージがありますが、非常に順調に弁護士への道を歩まれました。
法学部の講義で学んだことはそのまま活かせますし、法曹界の入り口に26歳で立つことができたのは、北陸大学での学びや支援があってこそだと感謝しています。
心地よい思い出として
胸に残っている、
母校の「人」の温かさ
大学時代、印象に残っている出来事はありますか。
私がロースクールへの進学を決めたとき、同級生は就職活動の真っ最中でしたから、就職指導課の方が「大丈夫なの?」としきりに心配してくれたことを覚えています。これはちゃんとしなければだめだな、と思ったものです。

学生のことを親身になって考えてくれるのは北陸大学の良さだと思いますし、そうした経験は学生の胸に心地よい思い出として残ります。北陸大学ならではの良き風土を大切にし、今後も学生の皆さんの可能性を引き出していってもらえれば、卒業生として嬉しいですね。
お仕事で力を入れていきたい分野など、今後の展望を教えてください。
私自身の弁護士としてのキャリアは10年と少しですから、まだまだ若輩者です。今は分野を特定せず、幅広い経験を積んでいるところで、その先に自分の強みとなる分野を見い出したいと思っています。

紛争には相手方がいることがほとんどで、依頼者の方が弁護士に依頼すれば、いつも100%望む結果を得られるわけではありません。そうした点では、弁護士の仕事として結果を出すことはもちろん重要ですが、いかに依頼者の方が納得し、その問題に区切りをつけられるかという点が重要になります。丁寧に説明するプロセスを重視し、依頼者の方に寄り添っていける弁護士でありたいと思っています。
今日はありがとうございました。
(2022年11月13日取材)