生薬標本室(第二薬学棟3F)
東洋医薬学教育において、「現物を知る」ことが出発点であることから、開学まもない時期から生薬標本室の充実が進められました。まずは薬局方収載生薬その他国内で入手可能な生薬を蒐集しましたが、それだけでは当然不充分です。世界にはおびただしい数の生薬があります。中国だけでも6000種近い生薬が知られています。しかしながら、それらの大半は、日本国内での入手は困難なことから、現地で蒐集せざるを得ません。それで、スリランカ(アーユルベーダ生薬)、ネパール(アーユルベーダ生薬およびネパール生薬)、パキスタン(ユナニー生薬)、中国各地(漢薬)、中国新疆ウイグル自治区(ユナニー生薬およびウイグル生薬)、チベット(チベット生薬)、マレーシア(ジャムー生薬およびマレーシア生薬)などで現地調査し、各種生薬の蒐集に努めました。現在、2900種余りの生薬標本を保有しています。これらの中には、本学の姉妹校である北京中医薬大学から寄贈されたものも含まれます。
これらの生薬類は教育のみならず研究材料としても利用されています。特に、ネパール薬物に関する研究は熱心に行われ、28編の学術論文が生まれています。