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患者さんの人生のベクトルを変える

医療保健学部 理学療法学科

宮地 諒 講師

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医療保健学部 理学療法学科

宮地 諒 講師

趣味 旅行、登山、音楽鑑賞

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Q.理学療法に興味を持ったきっかけを教えてください。

やっぱり身体に関わる仕事につきたいと

両親が医療職で、弟が理学療法を受けていた時期もあったので、元々医療職や理学療法には興味を持っていました。ただ、正直に言うと、頭の片隅にはあったものの、理学療法のことはあまり知らなくて。そうこうしているうちに大学受験を迎え、工学関係の学部に進学することになりそうなところでやっぱり人の身体に関わる仕事につきたいと思い、理学療法の道を選択しました。

Q.大学時代はどんな生活でしたか?

クラス一丸となって勉強

理学療法の分野って、実習が多い上に、グループワークも多かったので、クラス一丸となって勉強していく感じですごく楽しかったですね。あとは医療系のサークルに入っていたので、そこで他大学の学生と医療のあり方とかについてディスカッションしたりして、充実した学生生活だったと思います。

Q.なぜ大学院に進学したのですか?

新しいものを見つけたい

理学療法の分野って曖昧な部分が多いんですよ。その曖昧なものを人から与えられるだけの状況ってちょっと寂しいなと思って、それなら自分で新しいものを見つけたいと思い、大学院に進学しました。当時は全く教員になるというビジョンはありませんでしたが、若いうちに選択肢を広げておきたい、いろんな分野に触れておきたと思ったことも進学した背景にあります。

Q.教員になるビジョンは全くなかったとのことですが、なぜ教員に?

教える楽しさを知る

病院で10 年ほど働いていたのですが、臨床実習の学生を見ることが多くて、教えることの楽しさを知ったからということはあります。あとは新しいことを調べやすい環境に魅力を感じました。職場はすごく居心地が良かったのですが、ある程度立場が上になってくると、自分の意見が大体通ってしまう。だから、新しい刺激、新しい挑戦が必要だと思っていた時に、ちょうど前任校から声がかかって。いろいろ変えるきっかけになるだろうし、自分が求めていたことにかなり近いなと思ったので、大学教員の道に進みました。

Q.これまでで印象の残っている研究はありますか?

骨盤底筋にフォーカス

研究は腰痛をメインにやっているので、やっぱり腰痛でしょうか。骨盤底筋の研究とかは面白かったですね。骨盤底筋って結構女性の問題として取り上げられやすいんですが、男性も骨盤底筋がうまく使えてなかったら腰痛になったりとか、骨盤帯の痛みになったりとか、色んな機能障害が出たりするので、そういうところを他分野の専門家と連携して調べたのは面白かったですね。放射線技師の方の意見を聞きながら研究できたのは、すごく良い機会だったと思っています。

Q.話が脱線しますが、それだけ腰痛に詳しいと、家族にマッサージをしたりすることもあるんですか?

マッサージは根本的な解決にならず

マッサージは正直あまりやりたくないと言うか、マッサージって根本的な解決にならないんですよね。例えばちょっと肩が凝ったから揉んでよって言われたら、まあ揉むことはできるし、気持ちいい揉み方もよく知っているけど(笑)、あれって結局、姿勢が悪かったり、筋がうまく使えてなかったりすることで筋が固くなっていたりするので、それだったらマッサージよりもこういうトレーニングをした方がいいよって提案します。

Q.今後、注力していきたい研究テーマはありますか?

臨床データで患者さんの力に

今は割と健常者を対象にデータを取ることが多いのですが、病院での治療とか、患者さんを診るために活かせるようなものを研究していきたいと思っています。より臨床に即したデータを集めて活用していけたらいいなと思っています。

Q.恩師と呼べる人はいますか?

仕事に対するスタンスを尊敬

臨床実習でお世話になった先生ですね。初めてお会いした時は、その先生は大学教員ではなく、病院の技師をされていたんですが、仕事に対するスタンスがすごく勉強になりました。常に新しいもの、より患者さんのためになるものを追い求めていて、65歳を超えた今でもまだアップグレードしている。本当に尊敬しています。

Q.いろんな経験を積んだとのことですが、具体的には?

例えば海外の学会はいろいろな面でハードルが高いじゃないですか。自分だけでは踏み出せないようなところをサポートしてくれて、いろいろな面で背中を押してくれたのがすごくありがたかったです。

Q.先生にとって理想の医療人とは?

知識・技術と同時に人間性も

まずは患者さんに信用してもらえる存在になるということですね。知識とか技術はもちろん信用してもらうために必要だと思いますし、人間性の部分も重要だと思っています。どうやったら信用してもらいやすいか、こういう言い方されたら嫌だろうなというところを、ちゃんと客観的に考えられる医療人でありたいと思っています。言い換えれば、自分の両親を任せてもいいと思えるような医療人でありたいですね。

Q.先生の教員紹介のページ(*)に、学生へのメッセージとして、医療職のカッコいい部分や面白い部分を知ってもらいと書いてありました。それはどんな部分でしょうか。

人生を左右する理学療法士

医療職って患者さんの人生に関わることが多くて、例えば僕が以前診た患者さんの中には理学療法士がしっかりと関わらなかったら、おそらく生涯寝たきりになるだろう患者さんがいたんですよね。理学療法士が無理にでも起きて動くきっかけを作ったことで自立できたり介護量が減ったり。

スポーツ関連についても理学療法士が選手などに休むべきタイミング、トレーニングを行うべきタイミングなどを調整することがよくあります。これって結構、人生を左右するんですよね。自分が関わることで患者さんの人生がより良い方向に動くきっかけを作れるかもしれない、それができるのが理学療法士の格好いいところだと思います。理学療法士は患者さんの人生のベクトルを変えることができる職業です。

(*)https://www.hokuriku-u.ac.jp/about/teacher/r-miyachi.html

Q.理学療法士の国家試験って難しいですか?

10割取るつもりで勉強を

ちゃんと勉強していれば受かる試験です。ただ、6割取れば合格はするけど、患者さんを診る時に自分は6割しか知りませんでは患者さんの不利益は大きいですよね。なので、そこは10 割取るつもりで勉強してほしいと思います。

Q.北陸大学の良い点はありますか?

素直な学生が多い

まず一つは事務の方との距離が近いところですね。教員としてすごくやりやすい。あと、研究と教員業務を両立しやすいところがいいです。研究にも非常に力を入れているので、そこは大学教員としては働きやすいなと思います。

あと、これは土地柄かもしれないけれど、素直な学生が多いですね。話すとちゃんと動いてくれるし、言ったことをちゃんとやってくれる。

今の学生たちへ

MESSAGE

先生が北陸大学の学生に想うことや、
高校生へ伝えたい想いなどをお聞きしました。

国家試験の合格だけでなくプラスアルファを

北陸大学に入りたいと思っている高校生へ

これは理学療法学科に限定されてしまいますが、新しい機器が入っていたり、すごく熱心な教員がいたりするので、そういう点では選択の幅は広がると思います。これから理学療法を学ぶ人たちは付加価値がすごく求められてくると思っています。確かに国家試験に受かるのは大事なんですけど、それプラスアルファのことが求められてくる。卒業し理学療法免許を持っていればいいとわけではなく、現場でより重宝される部分にかなり力を入れています。なので、そういう意味では非常に選択肢も広がって面白く勉強ができるんじゃないかなと思います。

目標は卒業や国家試験の合格ではなくて、そのプラスアルファ、理想とする医療者であったり、理学療法士であったり、他の学科だったら目指している社会人になるために今何を勉強しなければいけないか。そういうことを考えながら、学生時代を過ごしてもらいたいと思います。

今しかできないことを考えてほしい

北陸大学の学生へ

これまでの話と重複してしまうところもありますが、テストを通るための勉強ではなく、理学療法学科なら患者さんを診るために必要なこと、他の学科なら働くために必要となることを勉強してほしいと思います。そのための下積みも大事です。

あとは学生時代にできることをしてほしい。学生時代は時間があるので、その時間を有効活用して、今しかできないことは一体何なのか、将来的に必要になってくることは何なのかということを認識した上で、今の時間を過ごしてもらえたらいいんじゃないかなと思っています。

そして大学生活を楽しんでもらいたい。自分が勉強する分野を好きになってもらって、楽しみながら自分の目標に向かって進んでいく、それが一番いいと思っています。

インタビュアーコメント

INTERVIEWER COMMENT

実際にインタビューした学生が、
先生の新たな発見や魅力について記録します。

インタビューを通じて、理学療法士に求められる要素として、人間性が重要だとおっしゃていたことが印象的でした。知識や技術だけではなく、まず患者さんに信用してもらう。これは医療人だけでなく、今後社会に出ていく私たちにも必要なことだと思います。私も人間性を磨いて様々な人から信用される人になりたいです。ありがとうございました。

INTERVIEWER 梅沢 駿亮 島谷 啓汰 中田 結都

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