医薬品の開発では、炭素・水素・酸素・窒素などの原子を三次元的に結合させることで、多様な立体構造をもった医薬品をつくることができます。この立体構造のわずかな違いが、医薬品の作用や性質に深く影響します。
私の研究では、主にX線構造解析、分子分光学的手法、コンピュータによる計算化学的手法などを用いて、さまざまな医薬品の立体構造を詳細に解析しています。これにより、医薬品の作用や性質がどのような立体構造の違いに由来するのかを明らかにし、新たな医薬品の開発や、より高収率・高純度・低コストで、安全かつ環境にやさしい合成法の開発につながる重要な知見を提供しています。
一方で近年、多くの大学で退学留年防止が課題となっていることを背景に、本学をはじめとする薬科系大学に入学した学生が、“大学の学び”にスムーズに移行できるような教材・教育手法・教育システムの開発にも取り組んでいます。
本学では、薬学部入学生に対し、専門教育科目のスムーズな学修を促すため、「入学前教育」「基礎ゼミナール」「基礎科学」「科学入門」などの準備教育科目を設けています。また学生の学修・生活の悩み解消を目的に、「出張オフィスアワー」や、留学生を対象とした「SSP(Student Success Program)」など正課外プログラムも企画実施しています。これらを受講した学生の成績データやアンケート結果に基づいて教育効果を検証し、新たな改善や工夫を試みています。
私が考えるウェルビーイングな社会
一人一人の個性にあった活動の場が存在し、一人一人の個性を互いに尊重できる社会