篠原 史成 助教
- TEACHER’S KEYWORD -
Q.中高生時代に熱中したことはありますか?
中学からアイスホッケー
中学生の時はアイスホッケーです。部員がそんなにいなかったので、他の中学校との連合チームだったのですが、夏は一緒に色んなところを走り回ったり、冬は学校のグラウンドにリンクを作って練習したり。ただ、高校は受験に失敗したこともあり、部活としてではなく社会人チームに入れてもらって、たまに遊ぶ程度でした。
Q.アイスホッケーをはじめたきっかけは?
アイスホッケーは面白いスポーツ
出身が北海道で寒い地域にいたので、体育の授業でスキーとかスケートがあるんですよね。私のいたところはスケートの地域だったので、小学校の時はスピードスケートを授業でやって。それが中学校ではアイスホッケーに変わるんですよ。男子はアイスホッケー、女子はフィギュアスケート。そんなこともあって小6の時、初めてアイスホッケーの靴を買って、ホッケーをやっている子と一緒に遊んだりしていたら、すごく面白いスポーツだなって。それがきっかけですね。
Q.北海道教育大学に進学した理由を教えてください。
2人の先生から教師を勧められる
北海道教育大学釧路校に進学したのですが、元々子どもと接するのが好きだったんですよ。小さい子と接する機会が多くて、そういう職に就きたいなって考えている時に、中学校の時の担任の先生が教師が向いてるんじゃないかって話をしてくれたことがあって。で、高校で進路を決める時にその時の担任の先生からも、教育大に行って教師という職業はどうか?みたいな話を受けて。2人の担任の先生から言われたのが大きかったかもしれないですね。
Q.大学で学んだことは、その後に活きていますか?
身についた「人との接し方」
教育大なので大学4年間、教育のことをメインでずっと学んできたのですが、釧路校は小学校の免許を取ることが卒業要件に入っていて、1〜2年生の時は週1回金曜日に小学校に行くんですよ。1日中ずっと。小学校では校内の様子を観察するという取り組みをやっていて、実際の先生の動きとか子どもの様子をかなりの時間見ることができたのは大きな収穫でした。その後、高校教員になるのですが、流れが分かっていたのでスムーズに仕事に入っていくことができました。
大学では友達と遊んだり、スポーツしたり色んなことをしましたが、その中でコミュニケーション能力、人との接し方も学びました。大学の4年間と大学院の2年間の計6年間を通して人間性を磨くことができたと自分では思っていて、それが働いた時にも、例えば子どもとの接し方や一緒に働く人たちと接する上でも活きていると感じます。
Q.大学院に進学しようと思ったきっかけは?
オープンキャンパスで参加した保健体育の講義が面白くて衝撃を受ける
北海道教育大学釧路校に入ったタイミングが悪くて、保健体育の免許を取りたくて入ったんですけど、教員不足で十分に講義が開講できない時期にたまたま入学してしまって。釧路校は小学校の免許ともう一つ自由選択で免許を取ることが卒業要件に入っていたのですが、保健体育が取れなかったので、結局、国語の免許を取ったんですよね。でも、所属は4年間ずっと保健体育研究室。理由は、オープンキャンパスで参加した保健体育の講義(座学)が面白くて衝撃を受けて、もっとこの先生の話を聞きたい。この先生から色んなことを学びたいと思ったからです。そんな時、新しく来た保健体育の先生に『保健体育の免許が欲しい』って相談したら、その先生が出た上越教育大学大学院がすごく勉強になるから行ってみたらってアドバイスをもらって、それが進学した理由ですね。要は保健体育の免許が欲しかったと(苦笑)
Q.高校と大学の両方の教員を経験していますが、違いはありますか?
多くなった学生と向き合う時間
高校はスポーツに特化した学校だったんですよね。だから部活動が中心で、悪く言えばやんちゃっぽい子が多かったので、勉強を教えるよりも授業態度や生活面の改善など生徒指導と部活動指導がメインの生活を送っていました。ただ、個人的には楽しくて、やりがいもすごくありました。
一方、大学では学生と向き合う時間が多くなりました。高校で働いていた時は、もっと時間をかけて生徒と接したいとずっと思っていましたが、今は時間にゆとりを持って学生1人1人に向き合うことができています。学生と向き合える時間がすごく多いので楽しいですね。
Q.研究テーマについて教えてください。
誰でも簡単に習得できるアイスホッケーの上達プログラムづくり
アイスホッケーがテーマです。最初に話したように中学校でアイスホッケーを始めて、高校は遊び程度でしたが、大学で再び部活としてやったんですよ。アイスホッケーをやっている人は基本的には小さい時からやっているので、基礎的なことが身についている状態で中学、高校と進んでいるんですよね。それに対して、私は中学校から始めたので基本が身についていない状態でその中に入った。
アイスホッケーって研究が全然されてないんですよ。今メジャーなスポーツ、例えばバスケットやサッカー、野球などは基本的な指導書があって、研究もかなり豊富にあるんですけど、アイスホッケーはそれがないから上手な人の動きを見て真似するとか、やっていた人にアドバイスをもらうということしかできないんですよね。だから研究では、基本的なシュートの動きの構造等を分析して、誰でも簡単に習得できるプログラムを作っています。自分が学べなかった基礎・基本を誰でも手軽に学べるようにしたい。アイスホッケーの競技人口はどんどん減っていっているので、増やすきっかけになればいいですね。
Q.初心者向けの練習メニューを作っているということですか?
修正プログラムで上達を確認へ
そうですね。今は初心者に私が作ったプログラムで指導した時にどう成長していくのかという研究をしています。そのプログラムで指導をしてシュートが上達していけば、メニューとして間違ってないってことになるし、上達しなかったら改善していくことになります。
上手な人のシュートの動きからコツを絞り出して、4つくらいのコツを元にこういうメニューをこなしていけば最終的に上手な人のシュートが身につくんじゃないかという仮説を立てて、大学院の時にプログラムを作ったんですよ。で、そのプログラムを元に実際に指導したら、上手くなった人とそうじゃない人がいたので、プログラムにちょっと修正を加えたというのが今の段階です。今後はその作り直したプログラムを元にもう1回指導して試すことになります。
Q.今後、特に取り組んでいきたいことは?
アイスホッケーだけじゃなく他のスポーツでも
最終的に指導書のようなものができればいいなと思っています。基礎的なシュートやパスなどの技術を分析して、練習内容もセットにした総まとめ的なものを出せればいいなと。あと、動きを分析して、それをできるようにするという研究は他のスポーツでもできますよね。アイスホッケーだけじゃなくて、他のスポーツ、例えばスノーボードなどでもできたらいいなと思っています。
Q.大学、大学院時代を通じて苦労したことは?
身近なところにもある「学び」
教職は取らなければいけない単位が本当に多いんですよ。なので、大学の1〜2年生の時は本当に朝から晩までずっと大学にいるような生活でしたね。すごく大変でした。教員免許って偏差値の高い大学で取っても、そうじゃない大学で取っても同じ免許なんですよね。だから、自分自身が免許をどう活かしていくのかということが重要になってくるわけです。その免許を使って子どもたちをどう育てていくか、講義はもちろんですけど、普段の生活や身近なところにも学びがあるということを意識して過ごした4年間でした。
Q.高校教員の後はすぐに大学教員に?
教員を辞めて教育委員会へ
その間に市役所、北海道の地方公務員をやっていました。大学院の修了後に2年間高校で勤めたのですが、さっき話したように思うように生徒に向き合えないというのが自分の中でずっと引っかかっていたんですよね。そういう状態の中で、将来的にずっとこれを続けていられるかなって。だったら環境をガラッと変えてみようということで、転職しました。
地方公務員の試験って結構あって、自分がちょうど動ける時にあったのが根室市役所でした。試験を受けたら受かったので、結局、教員を辞めて根室市役所に入りました。でも配属されたのは教育委員会。結局、教育とはずっとつながっています。
Q.その後、なぜ大学教員に?
現場で教えたい
教育委員会というのは学校の裏側、世間的にはあんまり見えないところを行政として支えていく機関なんですね。私は2年間高校の現場で働いて、さらに2年間教育委員会で教育の裏側を見て、やっぱり自分は現場で教えたいなという思いを持つようになりました。
あと、保健体育の免許を活かしたいというのもやっぱりあって。そんな時に目にしたのが北陸大学の公募で、もう1回人生を変えてみようかなと思って応募しました。
Q.いまは満足しています?
学生にやってあげたかったことができて楽しい
今はすごく楽しいですね。高校の時に生徒にやってあげたかったことや、こうできたらいいなと思っていたことができているし、将来的にもっとこうしていきたいと思っていることもこの職場ならできそうなので、このままずっと学生たちと関わって、学校のために何かできたらいいなって思っています。
MESSAGE
先生が北陸大学の学生に想うことや、
高校生へ伝えたい想いなどをお聞きしました。
INTERVIEWER COMMENT
実際にインタビューした学生が、
先生の新たな発見や魅力について記録します。
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INTERVIEWER COMMENT
このインタビューを通して、篠原先生の知らなかった面がたくさん見え、1本の映画を見たような気分になりました。高校教師、公務員、大学教員と、様々なキャリアを経て、自分に合う道を切り拓いて行く姿は、私も見習うべきだと感じました。また、自分のやりたいことに対して環境を変えることが重要であり、環境を変えるには一歩踏み出す勇気が必要であるという話が印象に残りました。私も人とのつながりを大切にしながら、一歩を踏み出していきたいと思います。