北陸大学法学部
2004年度 授業計画
SYLLABUS

科目名 配当学年 開講期 選択・必修 単位数
日本政治史 II (近世以前) 3・4年次 前期 選択 4
担当教員名 所属 研究室 内線電話 E-mail
原  禎嗣
教育能力開発センター 515 744 y-hara@hokuriku-u.ac.jp

 
 授業の目的
 
 我国における中世武家社会の成立から,発展,そして徳川幕府による安定的政権運営にいたる政治課程の中で,現実の権力と「天皇」という象徴的存在との関係を検証する。
 特に中世において,天皇の存在が危機的状況におかれたという事実に着目し,「天皇制の存在理由」にまで考察を広げる。
 過去,天皇には「権力」があった。ところが王朝貴族,武士と政治の中心が推移する過程で,「権力」は削ぎ取られ「権威」すら奪われていく。なのに誰一人として,天皇に取って代わる者が現れなかったのは何故か。そして「何も持たない」天皇が,常に政治の中心近くに存在したのは何故か,という問題の検討を通じて,日本的権力論ないしは権力崩壊論を展開する。
 
 授業の達成目標
 
 政治権力の確立に必要な条件,またその権力の崩壊要因について考察し,自分なりの考えを持つこと。
 今日まで天皇制が存続する理由について考察すること。
 理解した内容を自分の言葉で記述できること。
 
 成績評価の方法
 
評価の割合
出席状況
小テスト・ノート
レポート
50
中間試験
定期試験
50
受講態度
合  計
100
【評価の方法の詳細】
 講義中に行う課題レポートと試験の成績をもとに評価する。
 成績不良者には再度レポート等によるチャンスを与える用意があるが,主体的,積極的に学習しようという意欲を持つことが大前提である。
 
 受講生へのアドバイス
 
 毎回出席し,自筆のノートを作ること。なお講義は,可能な限りパワーポイントを利用し,そのデータはすべてネットで公開するので,必要に応じて参照されたい。
 
 他の科目との関連
 
 日本政治史 I 以前の部分を網羅することを考えている。
 
 教科書・参考図書
 
【教 科 書】 指定しない。
【参考図書】 利光三津夫『日本中世政治史』慶応通信
今谷明『室町の王権』中公新書
 
 授業計画
 
第1講義
序論
 講義の概要と履修上の注意点

第2講義
古代王朝国家の政治−1
 「ムラ」が「クニ」となり,首長である「大君」は服属した他の首長との差別化のために「天皇」を称するようになる。「天皇」は権力を確立するが,やがてかつての被支配首長の末裔によって象徴的存在へと追いやられていく。
1.ムラからクニへの発展と邪馬台国。
  ヤマト王権の成立。
2.豪族連合国家の形成と大王の誕生

第3講義
古代王朝国家の政治−2
1.応仁王朝から継体王朝,欽明王朝への推移
2.蘇我一族の台頭と大王家の危機
3.聖徳太子の出現

第4講義
古代王朝国家の政治−3
1.乙巳の変と大化の改新
2.改新政治の破綻
3.天智王朝の試練と崩壊

第5講義
古代王朝国家の政治−4
1.律令国家の成立
2.藤原氏の台頭と摂関政治
3.貴族政治の腐敗

第6講義
古代王朝国家の政治−5
1.後三条天皇と院政の開始
2.初期院政の特徴と問題点

第7講義
古代王朝国家の政治−6
1.平氏政権とその崩壊
2.治承寿永の兵乱

第8講義
中世武家政権−1
 鎌倉幕府の成立により,天皇は「権威」のみを有する存在となる。
 一方,武士のための政権を目指した鎌倉幕府は,ある事件を契機に変質し,北条一族の専制体制に移行する。暴戻止むところを知らぬ無能な支配者群は,武士と天皇の連携という新たな勢力によって,完膚なきまでに叩き潰される。
1.源氏政権の成立と後白河法皇

第9講義
中世武家政権−2
2.後鳥羽上皇と承久の変
3.執権政治

第10講義
中世武家政権−3
1.元寇と得宗政治
2.鎌倉幕府の崩壊

第11講義
中世武家政権−4
 建武の中興は,時代に逆行する権力移行を試みたために失敗する。次に出現した武家政権は,一人のカリスマ的人物によって,天皇の存在を危機に陥れることとなる。しかし,私利私欲を剥き出しにしたこの人物の野望は,歴史の許すところとはならない。
 為政者の「野望」への反作用は,広範な自治という形で現れる。中世は,現代以上に自由な自治社会であったともいえる。
1.建武新政と失敗
2.室町幕府の成立

第12講義
中世武家政権−5
1.足利義満の台頭

第13講義
中世武家政権−6
1.義満の王権簒奪計画

第14講義
中世武家政権−7
1.「日本国王」義満と野望の終焉
第15講義
中世武家政権−8
1.幕府の弱体化と応仁の乱

第16講義
中世武家政権−9
1.民衆と一揆
2.自由と自治

第17講義
織豊時代−1
 戦国の乱世は,中世的社会秩序を根底から破壊した。その破壊の過程でも,また破壊後の再建の過程でも,天皇という存在が重要な鍵を握っていた。天皇は,武士の闘争の中で,労せずして権力まで回復していく。
1.戦国大名と天皇
2.信長の対朝廷政策
3.正親町天皇の存在

第18講義
織豊時代−2
1.秀吉の台頭
2.小牧長久手の合戦と将軍断念

第19講義
織豊時代−3
1.秀吉の「天皇病」
2.宮中官位にすがる秀吉
3.関白就任

第20講義
織豊時代−4
1.朝鮮出兵と天皇
2.秀吉の死

第21講義
織豊時代−5
1.家康の台頭
2.五奉行との対立
3.大坂の陣

第22講義
武家安定政権−1
 徳川幕府は,天皇に対してそれ以前の政権とは異なる姿勢で臨んだ。江戸と京都の間に展開されるすさまじい暗闘の末,天皇は精神的皇帝として君臨し,決して統治することはない存在となる。ところが,天皇固有とも言うべき「権威」は,国学者達に「神性」という衣を着せられて,「犯すべからざるもの」へと変貌する。
1.家康の対朝廷政策

第23講義
武家安定政権−2
1.家康の死と神格化

第24講義
武家安定政権−3
1.幕府による宗教的権威吸収
2.紫衣事件

第25講義
武家安定政権−4
1.江戸幕府の構造

第26講義
武家安定政権−5
1.武家諸法度の効用
2.地方統治

第27講義
武家安定政権−6
1.光格天皇の出現
2.朝廷権威の回復

第28講義
武家安定政権−7
1.仁孝天皇と外圧の出現
2.開国と攘夷

第29講義
武家安定政権−8
1.孝明天皇と幕府
2.西国雄藩と過激派貴族
3.天皇の死と近世の終焉

第30講義
試験準備のための補習と復習

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