専門
- 一般生物学
- 初年次教育
主な担当科目
- 基礎ゼミⅠ
- 基礎ゼミⅡ
- 総合演習Ⅳ
所属学会
- 日本薬学会
- 日本薬学教育学会
- 初年次教育学会
- 大学教育学会
- 日本色素細胞学会
- 日本蚕糸学会
趣味
- 陶芸
- ガーデニング
- 犬と遊ぶこと
私の考えていること
日本のモンシロチョウは一見すると雌雄とも白く見えますが、紫外色を見ることができる彼らの世界では雄羽は黒く、雌翅は白く見えます。このことが配偶行動における雌雄認知の信号になっているという行動学的研究は、私の恩師故日高敏隆先生や小原嘉明先生らによるものです。 この現象は、プテリンという紫外線を吸収する化合物の蓄積量が雄翅に多く雌翅に少ないという研究結果と結び付けられてきました。また、雄翅には格子状の構造の中に雌に見られない米粒状の結晶がびっしりと詰まっていることが電子顕微鏡観察により明らかになり、この結晶はプテリンとタンパク質が結合したものだと信じられてきました。
しかし、その後の私たちの研究結果から、雄翅の結晶はプテリンよりもむしろ尿酸が主役であり、それが不明の高分子と結合していることが明らかになりました。雌雄の体液中の尿酸蓄積量に差はないのに何故か雄翅には多量の尿酸結晶が蓄積しています。まるで、モンシロチョウの雄は痛風か?と言いたいくらいです。この高分子の正体は炎症応答に重要なインフラマソームというタンパク質と関係していたら面白いのにと、エビデンスのつかめないまま放置状態ですが、未だに気になって仕方ないのです。
高校生へのメッセージ
大学では、様々な知識を数多く学びます。学んだことを分かったつもりで、自分の頭の引き出しにそのまましまい込んでしまうと、どこに何が入っていたかわからなくなってしまいます。手に入れた知識を自分の頭を使って考え、整理して積み直しておかないと必要な時に引き出せないし、新たな知識との関連付けや構造化、つまり活用ができません。6年間の学びの中で、自分の中に本来持っている資質や能力をいかに引き出して使えるようになるか、私たち教員はこのプロセスを支援しますが、主体は皆さん自身です。
おすすめの本
- サイ・モンゴメリー著 羽田節子訳 『彼女たちの類人猿』 平凡社
- 日高敏隆著 『ぼくの生物学講義 人間を知る手がかり』 昭和社
- 三木成夫 『内臓とこころ』 河出書房新社